プロが教える!トイレのお掃除方法
第3回 拭きや磨きはどのように行うの?
トイレ清掃では、拭く・磨くという動きが中心になり、これに多くの時間を費やします。
はじめに、これらについての基本事項を確認します。
「拭き」の基本
◆クロス(雑巾)の使い分け
クロスは使用部位ごとに色分けし、数色を保持するようにします。
部位ごとに決められたとおりの色のクロスを使用して清掃します。
以下の色分けは一例です。
衛生状態により気をつけなければならない病院清掃等では、さらに多くの色のクロスを使い分けしている場合もあります。
◆クロスの使い方
クロスは丁寧にたたんで使用します。手のひらのサイズになるように数回折りたたみます。
2回たたむと、手のひらよりも少し大きい使いやすいサイズ・形になります。
2回たたんだとき、クロスの表面の数は合計8面になります。この8面を1面ずつ順番に使うようにします。
同じ面を使い続けると汚染を広げることにもなりますので注意が必要です。
「磨き」の基本
◆道具の使い分け
クロスと同様に衛生陶器を磨く道具についても使用部位ごとに使い分けるようにします。
当然ですが、便器を磨く道具と洗面ボウルを磨く道具は別々のものを使用するようにします。
便器専用の洗浄ブラシ
洗面台用の不織布パッド
◆全体をまんべんなく磨く
衛生陶器を磨く際は磨き残しが残らないよう全体をまんべんなく磨くようにします。
衛生陶器は平面ではなく湾曲しボウル状になっていますので、形状を意識してブラシやパットがしっかり表面にあたるように注意して磨くようにします。
◆衛生陶器表面にキズをつけない
繰り返しになりますが、汚れ落としの際には陶器の表層をキズつけないよう注意する必要があります。
表層にキズが入ると、汚れやすく不衛生な衛生陶器と化してしまいます。
キズにより汚れが陶器表層にとどまりやすくなるということは、細菌が増殖しやすい環境になるということでもあります。
清掃上のポイントは?
清掃を進めていく上で注意が必要となるポイントについて、「便器・洗面ボウル」「温水洗浄便座」「衛生拭き」のそれぞれを確認していきます。
便器や洗面ボウルの清掃ポイント
◆大便器
大便器は、洗浄剤を用いてブラシやスポンジで内側全体をまんべんなくこすり洗いします。
便器の汚れには便や尿だけではなく、細菌、カビ、水アカなどがあります。
細菌やカビの繁殖を抑え衛生状態を保つためにはやはり洗浄剤を使用したほうがいいといえます。
汚れ落としの際の注意すべきポイントは以下となります。
<水の際>
洋式でも和式でも大便器には水が張っています。
その水際部分は汚れがたまりやすく、汚れを残してしまうと、細菌などが発生する原因にもなります。
よく「サボったリング」などといわれますが、大便器の中でも特に注意して清掃する部分といえます。
<リム(淵部分)>
便器の淵の溝部分をリムと呼びますが、ここに汚れがとどまるとカビが発生する原因にもなります 。
◆小便器
大便器同様、洗浄剤を用いてブラシやスポンジで内側全体をまんべんなくこすり洗いします。
汚れがたまりやすいポイントは以下となります。
<目皿と水だまりの溝>
この部分に汚れが残るとニオイの原因となるのはもちろん、汚れが固形化し、尿石といわれる硬いガンコ汚れになってしまいます。
<洗浄水が出る部分(スプレッダー)>
小便器内を洗い流す際、小便器上部(写真の矢印部)から洗浄水が出ますが、この部分にもカビ汚れなどがたまります 。
<小便器下部>
小便器の外側下部に尿汚れがつきます。
◆洗面ボウル
洗面ボウルの汚れは石鹸カスや皮脂が主なものとなります。
<排水口まわり>
排水口の金属部分の溝と排水栓に汚れがたまります。
温水洗浄便座の清掃ポイント
大便器の多くには温水洗浄便座が設置されていますが、ここも汚れがたまりやすい部位です。
主な清掃ポイントとそれぞれの清掃方法は以下となります。
<便座の底面>
見た目はそうでないにしても結構汚れているのが便座の表面です。
除菌効果が見込める除菌洗浄剤を用いて、便座ペーパーなどでしっかり拭き上げます。
<便座の裏面>
尿が付着しやすくニオイの原因ともなる部位です。
清掃の際は便座を上にあげ、しっかり清掃するようにします。(特に写真の点線部は不衛生になりやすい)
<温水洗浄便座の本体操作ボタン>
男性が小用としても使用する個室トイレの場合、尿の飛散により操作ボタンが汚れやすくなります。
写真はその際の男性の目線になります 。
<温水洗浄便座の本体操作ボタン>
温水洗浄便座の多くがワンタッチで簡単に便器から取り外せるように設計されています。
温水洗浄便座と便器の接するところ(写真の点線部)に汚れが入り込み蓄積します 。
<洗浄ノズル>
温水洗浄便座の洗浄ノズルは不衛生になりやすい部位です。清掃を怠ると汚れが固着し除去しにくくなる場合があります。
便器や洗面ボウルの清掃ポイント
「清潔感がある」というのと「清潔である」というのは違います。
「清潔」という観点で見たときに、トイレのどのポイントが清潔である必要があるでしょうか。
特に重要なのは手や身体が触れる以下のようなポイントです。
目には見えない細菌やウイルスの存在を想定しながら清掃を行うことが大切です。
≪各個室・小便器≫
・トイレ内各個室のドア・扉(ノブや鍵、その周辺)
・便座
・温水洗浄便座の操作部
・ペーパーホルダーの紙切板
・水洗レバー(フラッシュバルブ)
≪洗面台まわり≫
・水栓ハンドル
・エアータオル
≪トイレのドア・扉≫
・トイレのドア(ノブ、その周辺)
次回、第4回は『清掃の仕上がり基準は?』をテーマにお伝えします。
*トイレ清掃のやり方をより詳しく知りたい方は『一般社団法人日常清掃協会』のHPをご覧ください。
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©︎2022日常清掃協会association